22
ぼくは殆どの授業を寝ている。
今日もいつも通りに授業中にうとうとと眠っていた。ああ!授業中の眠りほど素晴らしいものはこの世界に存在するのだろうか!
授業を受けているのは苦痛で、うとうとしているのを耐えるのもまた苦痛だが、ひとたび眠りにつくとその後は意識が半分あるのに確かに眠っている、快楽だけが精神に流れ込んでくる。まるで麻薬のようだ。
しかも、不思議と目が覚めても寝覚めの悪い早朝のような倦怠感でもなく、晴れ晴れとした気分になってすっきりとした感覚だけが残る。
問題は眠ろうとして眠れない時である。
授業が妙に騒がしかったり、腕の感覚や位置がおかしく感じられたり、光に敏感だったりする時もあり妙に眠りにつき辛い。
こうなってしまったらおしまいだ。
頭痛など様々な身体の不調に反応する脳が、「眠れ」と命令してくるのだが、眠れない。
ゆえに、眠れないことに対する焦燥感を覚えてしまうのだ。
さらに、授業にも集中できないときた。手詰まりだ、どうしようもなく動けない。精神的疲労に、身体的疲労がついていっていない。
日に日にこういうことが増えていっている。そして、ぼくの精神はさらに疲弊していく。夏休みなどというものは関係ない。そこには、夏期講習があるのだ。
ぼくの自律神経なんてものは睡眠不足と、冷蔵庫のようなクーラーと灼熱の外気に侵されてとっくにぶち壊されているのだろう。
もう、そんなこともどうでもいい。後1年半耐えれば、きっと何かが見える。これだけは自分に言い聞かせなければならない。